玉ねぎに含まれるポリフェノールの細胞保護作用とその分子機構を解明〜二日酔いの症状軽減やアルコール性疾患の予防効果に期待〜
◆発表のポイント
- 玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)が、毒性物質(アセトアルデヒド)に対する抵抗性を高めることを明らかにし、二日酔いの症状軽減やアルコール性肝疾患の予防に寄与する可能性を見出しました。
- 食品成分のもつ機能性/安全性への理解に貢献するだけでなく、本研究で明らかとなった分子機構に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発が期待されます。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の中村宜督教授、中村俊之准教授、同学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授らの研究グループは、東アジア人特有のALDH2遺伝子多型依存性アルコール不耐症の肝細胞モデルなどを用いて、玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)のアセトアルデヒド毒性に対する保護作用とその分子機構を解明しました。さらに、ケルセチンはアセトアルデヒド代謝酵素とともに、抗酸化物質合成酵素の発現増強作用を介して、細胞をアセトアルデヒド毒性から保護することを明らかにしました。
本研究で明らかとなった食品成分の機能性とその分子機構に関する研究成果は、ポリフェノールの健康増進作用に関して新たな科学的根拠を提供するものであり、食品の機能性や安全性の科学的理解に大きく貢献することが期待されます。さらに、アセトアルデヒド毒性に対する細胞保護作用に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発につながるものと期待されます。
本研究成果は2本の論文として、7月11日に日本農芸化学会が発行する国際科学誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」(OUP)オンライン版、8月20日にスイスのオンライン科学雑誌「International Journal of Molecular Science」(MDPI)に掲載されました。
<詳しい研究内容について>
玉ねぎに含まれるポリフェノールの細胞保護作用とその分子機構を解明〜二日酔いの症状軽減やアルコール性疾患の予防効果に期待〜