酸化鉄を作るタンパク質を真核生物で初めて発見―ヒザラガイの「磁鉄鉱の歯」形成の謎を解く

RESEARCH &
PROJECT

酸化鉄を作るタンパク質を真核生物で初めて発見―ヒザラガイの「磁鉄鉱の歯」形成の謎を解く

◆発表のポイント

  • 真核生物が酸化鉄の一種である磁鉄鉱を形成する仕組みを、世界で初めて明らかにしました。
  • 軟体動物の一種であるヒザラガイから、酸化鉄の形成を誘導する新規タンパク質「RTMP1」を発見しました。
  • 今回の成果は、環境に優しい磁鉄鉱の合成技術や、鉄が関与する疾患の治療研究などへの応用が期待されます。

 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の根本理子准教授、大学院環境生命科学研究科の岡田航輝大学院生(研究当時。現在、JFEテクノリサーチ)、学術研究院環境生命自然科学学域の佐藤伸教授、守屋央朗教授、小布施祈織准教授、カリフォルニア大学アーバイン校のDavid Kisailus教授、東邦大学理学部の大越健嗣教授らの共同研究グループは、ヒザラガイの「磁鉄鉱(Fe3O4)の歯」の形成に関わる新規タンパク質、歯舌マトリックスタンパク質(RTMP1)を発見し、磁鉄鉱が生体内で形成されるメカニズムを明らかにしました。
 ヒザラガイ類の磁鉄鉱の歯は非常に硬く、人工ダイヤとも言われるジルコニアを超える耐摩耗性を示すことがわかっています。しかし、これまでヒザラガイがどのようにしてこの磁鉄鉱の歯を形成するのかは不明でした。研究グループは、ヒザラガイ類のみが持つユニークなタンパク質RTMP1が、あらかじめ形成された歯の骨組み(キチン繊維)に結合し、キチン繊維上に酸化鉄の形成を誘導することを解明しました。
 今回の成果は、環境に優しい磁鉄鉱合成技術や、高強度材料の開発につながるとともに、鉄が関与する疾患の治療研究など、幅広い応用が期待されます。
 これらの研究成果は、令和7年8月8日付で米国の科学誌「Science」に掲載されました。

<詳しい研究内容について>
酸化鉄を作るタンパク質を真核生物で初めて発見―ヒザラガイの「磁鉄鉱の歯」形成の謎を解く―

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