「子どもをつくれないオス」がいるとき、メスはどうするのか? ― 複数のオスと交尾する「保険」が進化する可能性を実験で示唆 ―

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「子どもをつくれないオス」がいるとき、メスはどうするのか? ― 複数のオスと交尾する「保険」が進化する可能性を実験で示唆 ―

◆発表のポイント

  • 動物の集団には、さまざまな理由で繁殖能力をもたないオスが存在します。メスが不妊のオスとだけ交尾した場合、子孫を残すことができません。このような繁殖上のリスクに対して、メスは不妊のオスを見分けて交尾を避けるのでしょうか。それとも、複数のオスと交尾することで、「すべての交尾相手が不妊だった」という最悪の事態を避けるのでしょうか。
  • 私たちはコクヌストモドキを用いて、この問いを15世代以上にわたる実験進化によって検証しました。オスの半数が不妊という環境を人工的につくり、その環境でメスを進化させたのです。
  • その結果、不妊オスが存在する環境で進化したメスでは、複数のオスと交尾する程度が対照群より一貫して高い傾向が見られました。
  • 統計的には明確な進化を確認するには至りませんでしたが、この結果は、メスが相手を見分けることができない場合、「一匹のオスにすべてを賭けない」という戦略によって繁殖失敗のリスクを分散する可能性を示しています。つまり昆虫のメスは、オス選びに「保険」をかけているのです。

 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の宮竹貴久教授と岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の大学院生らは、東京大学大学院総合文化研究科の松村健太郎助教・岐阜大学応用生物科学部の日室千尋准教授・香川大学農学部応用生物科学科の安井行雄教授・沖縄県との共同研究で、複数のオスと交尾することで、繁殖に失敗するリスクを減らす「ベットヘッジ型の多回交尾」という仮説を、コクヌストモドキを用いた実験進化によって検証しました。研究では、繁殖能力を完全には失わせない程度の放射線を照射したオスと、放射線を照射していないオスを1対1の割合で同居させ、その環境でメスを15世代以上にわたって飼育しました。その結果、不妊となったオスとともに進化した系統のメスは、不妊のオスとの交尾を避けるようにはならず、不妊のオスと交尾した場合には繁殖成功が低下しました。一方で、対照群と比べて、これらのメスはより多くのオスと交尾する傾向を示しました。この研究成果は10月5日午前9時(日本時間)、SpringerのJournal of Ethologyにオンライン掲載されます。

<詳しい研究内容について>
「子どもをつくれないオス」がいるとき、メスはどうするのか?― 複数のオスと交尾する「保険」が進化する可能性を実験で示唆 ―

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