天然物有機化学
私達の研究対象は、微量で生物の行動や機能を制御する天然有機化合物です。 有機合成化学の手法を用いて、生理活性物質の活性発現の仕組みや構造-活性相関の解明、農薬・医薬への応用を目指しています。
概要 :天然有機化合物及び類縁体の合成と活性評価・生理活性物質の生合成経路の解明・生体触媒(微生物・酵素)の有機合成への応用・有用な有機化学反応の開発
対象 :抗生物質・植物病原菌毒素・植物ホルモン・摂食阻害、昆虫誘引・忌避物質・香気物質
開発 :抗ガン剤・抗腫瘍剤・抗ウィルス(インフルエンザ・新型コロナ・HIV)剤・除草剤・抗菌剤・殺虫剤・香料
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抗インフルエンザ薬タミフル等には副作用や抵抗性ウィルス出現の問題があり、新規な薬剤の開発が急務である。私達は、インフルエンザ・シアリダーゼの作用機構を、2,3-ジフルオロシアル酸1がこの酵素を不可逆的に阻害することから明らかにした。さらに、次世代型阻害剤として、酵素活性中心との親和力増大を狙って、スルホシアル酸誘導体2を合成し、スルホ基の導入が、新しいリード開発に有効であることを示した。
プレスリリース
- インフルエンザ治療薬の開発をリードするスルホシアル酸誘導体の合成に成功(2017年09月28日)
- タミフル代替薬の候補化合物を開発(2014年03月18日)
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糖鎖は生体内で様々な認識を担う分子として注目を集めているが、その詳細な機能は構造の複雑さ及び多様性のために未だ不明な点が多い。そこで、化学的方法だけでなく酵素の利用も含め、糖鎖や糖質誘導体の効率的な合成法について検討している。また、アルカロイドや複素環化合物などの化合物ライブラリーの構築を行い、マツノザイセンチュウ(松枯れ病の原因の一つ)を標的とした抗線虫薬剤の探索を行っている。