廃棄物資源循環学
われわれは生活の中でモノを消費し、使い終わったら「ごみ」として廃棄している。これまではごみを無害化する「処理」が主流だったが、現在は「再利用」が世界の流れである。ごみ資源化は自然エネルギーの利用とともに地球環境にやさしい行為である。当研究室ではごみを資源物質ととらえ、モノの生産から廃棄・資源化までの物質の流れを明らかにし、持続可能な物質循環社会のカタチを見つけることを目的としている。具体的には、地域循環型社会の考究、バイオマス資源化技術の開発、有害物質や災害廃棄物の対策などに取り組んでいる。
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地域循環型社会の構築に関する研究
製品も廃棄物も物質には変わりはありません。所有者が不要と判断した瞬間からその物質は廃棄物と呼ばれるようになり処理・処分に回ります。「自然から取り出した物質は、人類のために最大限利用し、安全にもとの自然に戻す」。これは地球を共有する人類にとって必要な考え方です。この循環構造を実現するために廃棄物循環に関する研究しています。具体的なテーマは、廃棄物フローの分析、消費モデルを用いた発生量推計、排出量の予測、地域リサイクル事業のバランス、低炭素とのコベネフィット、学内バイオマスの循環利用などです。
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水俣条約の有効性評価に資する人為的活動下での水銀排出動態に関する研究
地球規模の水銀および水銀化合物によって引き起す健康、および環境被害を防ぐために水銀に関する水俣条約(以下、水俣条約)は日本国政府の主導で採択された。締約国において、条約の着実な履行のためには、様々な技術及び制度を複数組み合わせて対策を講じていくことが求められている。これらの対策の有効性を評価するには、現状(条約発効後)と過去(条約発効前)の水銀挙動の変化を考慮したものでなければならない。水俣条約では、締約国会議が条約の有効性評価を行う旨規定されており、条約の有効性評価のあり方についても、日本が主導的に議論をリードする科学的エビデンスを示すことが期待される。現在、どのように有効性評価を行うかについてはまだ定まっていないが、2023年までに条約の有効性評価をする必要がある。そのため、本研究では人為的活動下での挙動を定量的に把握し、ライフサイクルアセスメントの観点から人為的水銀排出による環境影響を評価し、水俣条約の履行を含む将来の水銀排出削減シナリオを定量的評価することによって条約の有効性評価に貢献することが望まれる。