植物生態学
地球上のさまざまな陸上生態系を対象として,植物群集を構成する植物種の侵入と定着,生残,成長,繁殖および枯死の特性を生理生態学的に解析することによって,植物群集の構造および維持機構を,特に種ごとの水利用特性やそれに基づく生存戦略に注目して基礎的に明らかにします。
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植物は物質生産の過程で葉から水を失う。そのため失水の抑制や,失水の速やかな補償といった様々な特性を発達させることが成長や生存にとって不可欠である。乾燥地域から湿潤地域の様々な植物生態系を対象として,構成する植物種の葉の蒸散抑制,枝や幹の通水特性,根における吸水特性の評価を通じて,各器官レベルから樹体全体としての水利用特性および生存戦略の解明を試みる。また,こういった観点から,通水機能の維持メカニズム、乾燥地(主に中国など)の緑化に関わる研究や,マツ枯れなどの萎凋病に関わる研究,森林の再生機構に関わる研究などに取り組む。
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固着性である植物は様々に変動する物理的・生物的環境に適応することで様々な表現型や生理特性を進化させてきた。植物の様々な生活史戦略の中でも特に環境の影響を受けやすい繁殖から更新過程に着目し,植物が限られた資源をどのように得て,生活史の中でも特に繁殖に対して利用しているか,繁殖の後の過程である実生がどのようにして更新するか,さらに地球規模で進む環境変化の影響をどのように受けるか等の研究に取り組む。