遺伝子細胞工学
植物病害の制御には病原菌の病原性と, 植物免疫と呼ばれる植物病害抵抗性の解明が重要です。私たちは, 病害防除への応用を視野に入れ, 分子遺伝学的手法を駆使して, 植物病原菌の病原性と植物の病原菌に対する抵抗性機構を遺伝子レベルで解析しています。最近では, 植物病原細菌のべん毛糖タンパク質フラジェリンが植物に対し防御応答を誘導する一方、べん毛運動能は宿主に対する病原性に必要であることなどを見出しました。
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P. syringae のべん毛とタイプIV線毛による運動能は病害力因子として重要であることを見出しました。植物病原細菌は気孔などの自然開口部や傷口からアポプラストに侵入します。最近、この運動には走化性を必要とすることがわかってきました。植物感染行動時における走化性の誘引物質とその受容体の解明、走化性を利用した植物防除の可能性について研究しています。
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P. syringaeの病原力因子の一つとして、Type III secretion systemから分泌されるタンパク質性の病原力因子(エフェクター)があります。エフェクターは、植物免疫を抑制し、感染成立のための重要な役割を担っています。しかしながら、その分子機能や標的因子は未だ明らかになっていません。私たちは、エフェクターの標的因子の同定を目指し、植物が備えている防御機構について明らかにしようと研究しています。
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Pseudomonas属およびXanthomonas属の植物病原細菌の感染機構を分子ベルで解明することを目指しています。これらの細菌は農業において深刻な病害を引き起こしますが、その感染機構は未だ完全には解明されていません。現在は特にモモせん孔細菌病菌に着目し、発病に必要な病原力因子の探索に取り組んでいます。分子レベルで明らかにした知見を応用し、効果的な病害防除の開発に繋げたいと考えています。