植物病理学
国際連合食糧農業機関 (FAO) は,世界で 8 億人以上の人が十分に食べることができず,毎日,2 万 4,000 人が餓死していると警鐘を鳴らしています。実際,植物の病気により食用作物や換金作物の収量が毎年 20% 減少しています。人口が増加する中,植物の病害管理システムは、現在および将来にわたって私たちを養うのに十分でなければなりません。私たちは,植物・微生物間相互作用における植物の自然免疫と病原性発現に関わる分子機構を分子レベルから解明し,その仕組みに基づいた新しい病原微生物の制御技術(防除法)や発病予防技術の開発のための教育研究を行っています。
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植物病原糸状菌Rhizoctonia solaniの感染機構の解明
R. solaniは植物に激しい壊死病斑を引き起こします。宿主範囲が広く、世界中で様々な作物種に深刻な農業被害をもたらしています。植物病害の克服には病原体の感染生理の理解が不可欠ですが、遺伝子操作が難しい本菌の感染機構の研究はあまり進んできませんでした。我々は本菌に対する宿主側の免疫応答と、感染過程の共焦点顕微鏡による観察という独自アプローチで本菌の真の感染機構に迫っています。
プレスリリース一覧
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イネやバイオマス作物を脅かす紋枯病から身を守るための植物免疫機構を解明
- 草本植物の紋枯病に対する抵抗性の仕組みを解明-防除策の開発に役立つ分子基盤-
- ブドウを根頭がんしゅ病から守る!拮抗細菌が根頭がんしゅ病を抑制する仕組みを解明~病原細菌に感染する頭部を欠いたファージ尾部様粒子rhizoviticinを発見~
抵抗性誘導剤のシーズ探索
植物の免疫を活性化することで病害防除効果を発揮する農薬は抵抗性誘導剤と呼ばれます。我々は独自手法でそのシーズ探索と作用機序解明を行っています。
植物根圏微生物の作用機序の解明
土壌微生物の中には植物の生長を促進したり病害抑制効果を示すものが存在し、その農業利用の促進が期待されています。我々はブドウ根頭がんしゅ病のバイオコントロール細菌の作用や植物に与える影響を調べています。