動物栄養学
栄養と健康に関する情報は溢れるほどありますが、結論はいつも「バランスのとれた食事と適度な運動が大切」です。 であれば、どのような時(食行動、生活習慣、遺伝子型、加齢等)にバランスが崩れるのか、バランスが崩れた時にどのように対処するか、遺伝子科学、分子生物学の手法も 駆使して、それらを明らかにしなければいけません。
人と動物ではライフサイクルが違うので、目的、目標、取組み方も異なります。人および伴侶動物では、健康寿命の延伸が大きな課題です。産業動物(家畜)は畜産食品 (乳、肉、卵)を産みだすことが使命であり、バランスのもつ意味が人とは違います。産業動物と野生動物は、気候を含む環境条件の影響を強く受けることも特徴です。 飼育環境の衛生管理が難しい産業動物では、感染症の予防が非常に重要です。私たちは、食と栄養、免疫、衛生、環境等に関する様々な課題に取組んでいます。
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獣医療、飼養管理、衛生管理の技術が発達した現在でも、乳房炎は解決困難な問題です。泌乳量が増加して1日に30~40 kgの牛乳を搾りだすことが普通に求められる ようになり、搾乳に伴うダメージから回復するだけでも現代の乳牛は大変でしょう。乳頭口の閉鎖が不完全であれば、病原性微生物の侵入も避けられません。
乳房炎は微生物感染症ですから、その予防には病原因子(微生物)、環境因子(牛舎環境)および宿主因子(乳牛の栄養状態、免疫機能、乳頭形状等)の相互関係を理解 することが必要です。それまで続けていた飼料と腸内容物の細菌叢調査から対象を空気粉塵を含めた環境に広げ、乳房炎予防を目指したフィールド調査を行っています。
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