地盤・地下水学
次世代の社会基盤を安全で経済的に構築し,維持管理していくためには,人と地球環境との調和を考えた地盤環境の創造が必要です。そのために,地盤調査,原位置試験,室内土質試験,そして数値シミュレーションなどの方法により,地盤や地下水の環境状態をシンプルでコンパクトに計測・評価する技術を開発しています。地盤や土構造物の浸透特性値と力学特性値を精度良く把握することで,地盤災害を軽減し,未来を指向した地盤環境づくりに貢献していきます。 また、地盤の浸透特性の調査法や地盤環境保全の予測解析手法の開発を通じて地下水の挙動を定量的に評価することで,斜面及び土構造物の安定問題や建設工事における地下水問題に加え,土壌・地下水汚染や放射性廃棄物処分等の地盤環境問題や地中熱利用等のエネルギー問題の解決に取り組んでいます。
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近年,ゲリラ豪雨などの異常気象により斜面の崩壊や河川堤防の決壊などが多発していますが,これらの災害から人命や財産を守るためには,地盤と地下水の状態を調べることが重要です。そこで,最新のセンサー技術や情報ネットワークシステムを活用した土砂災害発生の警報・解除を行うシステムの開発に取り組んでいます。
河川堤防における浸透に対する安全性を精度良く評価し,河川堤防の浸透対策を適切に設計・施工する実務への貢献を目的として,河川堤防内の浸透挙動のモニタリング方法およびこれらの現地計測データをシミュレーションする方法の開発を行っています。
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植生を活かした地盤防災技術に関する研究
山間地の樹木の根や幹にセンサーを取り付け,地すべりによるせん断力や引張力を受けたときの生体電位 (人間でいう脳波や心電図) の変動をモニタリングし,地すべりの事前検知・警報等の発令に役立てる「バイオセンサー」を開発しています.植物の根を含む地盤にすべりを与えたときの変位と植物の生体電位の振幅と周波数をモニタリングし,リアルタイムの電位の変動から地盤の変位を推定する機械学習プログラムを構築しました.