理論物理化学
統計力学,熱力学,分子シミュレーションなどの理論的アプローチを駆使して,液体,溶液,界面,相転移,高分子,タンパク質,ウイルス,細胞などに関わる多岐にわたる研究課題に取り組んでいます.最新の研究トピックスは,疎水性相互作用の溶質分子サイズ依存性,溶質溶解度,有効相互作用,相分離に対するイオン特異的効果,三相平衡系の三重臨界点近傍における界面の構造,タンパク質の構造安定性機序と共溶媒効果による影響,生体分子モーターの設計原理とエネルギー変換効率などです.
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イオン特異的効果および溶質サイズ効果の理論的研究
イオン特異的効果とは,塩析・塩溶等のイオン添加効果のうち,価数とイオン濃度のみでは説明できない,イオン種の独自性に起因する効果であり,海水,ソフトマターから生体内水に渡る多様な系で重要な役割を果たしている.我々は,なぜLiClはNaClよりも塩析効果が弱いのか?という未解明問題に取り組み,その微視的機構を明らかにした.もう一つの研究課題は,溶質サイズの増大とともに,疎水性相互作用,コロイド間相互作用等の溶質間有効相互作用がいかに変化するか?という問いである.現在,水中の疎水性溶質の浸透第2ビリアル係数と平均力ポテンシャルを精密に計算し,溶質サイズ依存性を解明するための研究を遂行している
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