界面電子物理学
物質の示す特性(機能性)は物質中の電子の状態で決まります。電子状態を実験的にあきらかにすることは、機能性発現機構の解明に直結し、また機能性向上への指針を与えます。先端的な電子解析手法により、物質中の電子状態を詳細に調べる研究を行なっています。
ナノ構造薄膜物質の作製や機能性薄膜新物質の開発を行っています。ナノ構造薄膜作製では相分離による自己組織化現象を活用します。機能性薄膜の開発では超伝導や金属絶縁体転移を示す物質開発を行います。研究では、物質設計・薄膜作製・物性測定のサイクルを繰り返すことによって、目標とする物質を創り出しています。
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ハーフメタルは電子スピンの向きの揃った電流を発生させることのできる物質であり、スピントロニクスにおける重要な物質群のひとつです。ハーフメタルにおける電子状態をスピン分解光電子分光をもちいて研究し、スピン状態ごとに電子間相互作用が大きく異なることを見出しました。この結果は、スピントロニクスにおけるデバイス設計において、スピンに依存した電子相関効果を考慮することの必要性を示しています。
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ナノ構造薄膜の作製では、金属酸化物膜の相分離(スピノーダル分解)により、ナノスケールの周期をもつ多層構造を自発的に創りだしています。また、多層構造の形成とともに金属絶縁体転移などの機能の発現にも成功しています。
薄膜新物質の研究では、ナノ秒レーザーアニール法により困難とされていた新しい炭素同素体Qカーボンの追試に世界で初めて成功しました。現在は超伝導Qカーボンの開発研究を行っています。
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新物質開発を含む新規凝縮電子系の物性研究を行っています。特に対称性を持たない物質を対象とし、新規物性の発見を目指しています。高圧合成や制御された単結晶合成などを通じて準安定な物質合成を行い、これまでにない電子状態の実現を目指します。