種子中に糖類を高蓄積するオオムギの発見!

RESEARCH &
PROJECT

種子中に糖類を高蓄積するオオムギの発見!

発表のポイント

  • デンプン合成に関わる遺伝子に変異を持つオオムギを2種類単離しました。
  • 2つの変異を組み合わせた二重変異体の種子では、デンプンが少なくなり、ブドウ糖やショ糖などの糖類が多く含まれていました。
  • この二重変異体は従来のオオムギと異なる種子成分を持つことから、新しい用途に利用でき、高付加価値な品種育成が期待されます。

デンプンはブドウ糖 (グルコース)が鎖のようにつながった物質で、穀物の種子中の70%以上を占めます。種子に貯蔵されたデンプンは植物が発芽する時のエネルギーとして使われますが、人間にとっても種子は主食であり、貯蔵デンプンは大切なエネルギー源となります。デンプンの合成に関係する植物の遺伝子(デンプン合成関連遺伝子(注1))は既に多数発見されています。デンプン合成関連遺伝子の中には、変異によって機能が失われたり弱まったりした場合に合成されるデンプンの特性(構造や性質)が変化することがあります。一方、複数のデンプン合成関連遺伝子に同時に変異が入った場合に、合成されるデンプンの特性がどのように変化するのかは、その組み合わせの多さからあまり分かっていません。岡山大学資源植物科学研究所の松島良 准教授らは、このたび秋田県立大学ならびに立命館大学との共同研究により、オオムギのデンプン合成関連遺伝子のうち特定の2つの遺伝子の変異を組み合わせることにより、種子中のデンプンが減少することを見出しました。そのオオムギ変異体は、グルコースやショ糖(スクロース)などの単糖類や二糖類を多く蓄積していました。今回用いた2つの変異のうちの1つは、デンプンのグルコース鎖のつながり方を制御する酵素の遺伝子で、トウモロコシではスイートコーンの原因遺伝子として利用されています。もう1つの遺伝子はデンプン関連酵素を補助する機能を持つことが予想されていました。2つの遺伝子変異を同時に持つことで、単独の変異よりも強い性質を示すことが明らかとなりました。オオムギは、醸造用、食用、飼料用、飲料用に利用される多用途作物であり、種子のデンプン特性や成分特性は重要です。本研究で発見したオオムギ変異体を利用することで、新しい用途開発や付加価値の高い品種育成につながるかもしれません。
 本研究成果は、日本時間 4月3日、国際科学雑誌「Theoretical and Applied Genetics」オンライン版で早期公開されました。

<詳しい研究内容について>
種子中に糖類を高蓄積するオオムギの発見!

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