いつ、死んだふりから目覚めるべきか~覚醒を早める集合フェロモンの存在を世界に先駆けて発見!~

RESEARCH &
PROJECT

いつ、死んだふりから目覚めるべきか~覚醒を早める集合フェロモンの存在を世界に先駆けて発見!~

発表のポイント

  • 刺激を受けると動かなくなる「死んだふり行動」は、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、ダニ類、昆虫類など様々な分類群の動物で見られる行動です。ファーブルとダーウィンが昆虫の死んだふり行動に興味を持って以来、死んだふりを引き起こす刺激については、多くの研究があり、その適応的な意義についての研究も進みました。しかし、「死んだふりからいつ目覚めるべきか?」という視点には世界の誰も注目していませんでした。
  • もしいつまでも「死んだふり」をし続けると、徘徊性の捕食者に襲われる危険、嗅覚の発達した捕食者に食べられる危険が増し、さらに異性や餌にめぐり合う機会も減るため、死んだふりをずっと続けているわけにはいかず、覚醒する必要があります。
  • 今回、死んだふりのモデル昆虫であるコクヌストモドキにおいて、集合フェロモンの存在が死んだふりから覚醒する刺激のひとつであることを世界に先駆けて示しました。

岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の石川望都也大学院生(博士前期課程1年)と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の松村健太郎研究助教、宮竹貴久教授の研究グループは、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)という貯穀害虫を用いて死んだふり行動から覚醒する刺激について調べました。その結果、死んだふりをしている成虫を、同種の集合フェロモンの匂いにさらすことで死んだふりから覚醒するまでの時間が短くなることを新たに発見しました。
 同研究グループは、2019年にも死んだふりをしている本種の成虫を置いた地面(シャーレ)を振動させると、ある強さの振動で死んだふりを中断して、歩き出すことを世界に先駆けて発見しており(Miyatake et al. 2019)、継続的に「死んだふり」行動を研究しています。
 この研究成果は9月14日午前0時(日本時間)、Springerの日本動物行動学会誌「Journal of Ethology」にオンライン掲載されます。

<詳しい研究内容について>
いつ、死んだふりから目覚めるべきか~覚醒を早める集合フェロモンの存在を世界に先駆けて発見!~

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