サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~

RESEARCH &
PROJECT

サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~

◆発表のポイント

  • サツマイモを加害する大害虫であるイモゾウムシは海外から日本の南西諸島に侵入した侵略的外来生物で、農業を守るうえで特殊害虫とされ、警戒されています。
  • サツマイモの特殊害虫とされている虫にアリモドキゾウムシとイモゾウムシがいます。前者は誘引力の高いフェロモンも開発され、久米島と津堅島で根絶が達成されていますが、イモゾウムシにはそのような剤がなく、生態と行動がほとんどわかっていませんでした。そのため南西諸島において本種の根絶に向けての取り組みが難航しています。
  • 本研究ではイモゾウムシが、サツマイモの苗の上でどこに分布し、繁殖行動がどこで生じるのかを観察によって調べました。その結果、本種は昼間、苗の節で休み、活動の盛んな夜間は苗から出ていく一方で、マウントと交尾行動は苗の節でよく見られることが世界で初めてわかりました。また、苗を逆さにした場合でも、メスは苗の地際部に卵を産み付けることから、根に近い苗の部分に産卵を誘発する物質がある可能性も示唆されました。

 沖縄県病害虫防除技術センターの浦崎貴美子班長と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の松村健太郎研究助教と宮竹貴久教授らの研究グループは、サツマイモの大害虫で特殊害虫に指定されているイモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)がサツマイモの植物苗のどの部分に滞在するか48 時間、調べたところ、昼間は雌雄とも節に滞在し、交尾が生じる夜間は、とくにメスが苗から移動し離れる一方で、マウント(交尾を含む)行動は苗の節で見られ、卵を地際部の苗に産み付ける習性があることを世界で初めて発見しました。  イモゾウムシはカリブ島しょ域原産ですが、1947 年に沖縄本島で見つかって以来、沖縄県と奄美群島の全域に侵入した侵略的外来生物で、南西諸島では不妊虫放飼法による根絶事業が実施されています。本発見は、本種の効率的な根絶事業に役立つ情報です。この研究成果は2月22日、Springer の日本応用動物昆虫学会誌「Applied Entomology and Zoology」にオンライン掲載されます。

<詳しい研究内容について>
サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~

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