有機太陽電池の性能向上に成功!―有機半導体の励起子束縛エネルギー低減に向けた新指針―
◆発表のポイント
- 有機半導体を発電層に利用した有機太陽電池で、光から電流への変換過程で妨げとなる励起子束縛エネルギーを低減できる新分子設計指針を実証
- 有機太陽電池のエネルギー変換効率の向上や、単成分の有機半導体での光電変換を実現
- 将来的に、新駆動原理・新デバイス構造に基づいた高性能太陽電池や波長選択型透明太陽電池などの光・電子デバイスの開拓に期待
大阪大学産業科学研究所の陣内青萌助教、家裕隆教授は、岡山大学環境生命自然科学学域の山方啓教授、神戸大学分子フォトサイエンス研究センターの小堀康博教授、名古屋大学情報学研究科の東雅大教授らと共同で、有機半導体分子のフロンティア軌道を空間的に分離させる分子設計を取り入れることで、有機半導体の励起子束縛エネルギーを低減することに成功しました(図1)。 新たに開発した有機半導体材料を使用してバルクヘテロジャンクション型の有機太陽電池を作製したところ、小さな励起子束縛エネルギーを反映して従来材料よりも優れた太陽電池特性を示しました。さらに本材料は、単一の有機半導体を発電層とする単成分型有機太陽電池材料としても機能することを見出しています。本研究成果によって、本研究分野の重要課題の一つである「励起子束縛エネルギーの低減」に効果的な分子デザイン指針の一端が明らかとなり、新駆動原理に基づく新たな光・電子デバイスの創出に繋がることが期待されます。 本研究成果は、2024年8月12日(現地時間)にドイツ化学会誌 『Angewandte Chemie International Edition』 にオンライン速報版として掲載されました。
<詳しい研究内容について>
有機太陽電池の性能向上に成功!―有機半導体の励起子束縛エネルギー低減に向けた新指針―