塩ストレスが植物の生育不良を引き起こす仕組み-2つのカリウムイオン輸送体が塩ストレスによる根の成長阻害に関与する-
◆発表のポイント
- 塩ストレスが引き起こす植物の根の成長阻害は、特徴的な活性を持つ二つのカリウムイオン輸送体によって引き起こされることがわかりました。
- カリウムイオン輸送体に注目した、耐塩性作物の新たな生産技術の開発につながることが期待されます。
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)博士後期課程のHiya Hafsa Jahan大学院生(国費留学生)、同大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宗正晋太郎准教授、村田芳行教授らの研究グループは、塩ストレスが植物の生育阻害を引き起こす原因の一端を明らかにしました。
塩害は、世界中で農作物の生産に悪影響を及ぼしており、塩害に強い作物品種の開発が望まれています。しかし、そのためには植物の持つ塩ストレス応答機構を明らかにする必要があります。本研究では、塩ストレス下で起こる根の生育阻害が、特徴的な活性を持つカリウムイオンチャネル(カリウムイオンの輸送体)によって引き起こされることを明らかにしました。今後、カリウムイオンチャネルに注目した新たな耐塩性作物の生産技術の開発につながることが期待されます。
本研究成果は8月2日、国際科学誌「Journal of Plant Physiology」にオンライン掲載されました。
<詳しい研究内容について>
塩ストレスが植物の生育不良を引き起こす仕組み-2つのカリウムイオン輸送体が塩ストレスによる根の成長阻害に関与する-