プロラクチンが羽成長を促進する分子メカニズムの解明~インスリン様成長因子と甲状腺ホルモンが協働し急速な成長を実現~

RESEARCH &
PROJECT

プロラクチンが羽成長を促進する分子メカニズムの解明~インスリン様成長因子と甲状腺ホルモンが協働し急速な成長を実現~

◆発表のポイント

  • 初生雛を用いた研究により、プロラクチン(PRL)がインスリン様成長因子(IGF)および甲状腺ホルモン(T3)のシグナル伝達を調整し、羽の成長を促進するメカニズムを解明しました
  • インスリン様成長因子と甲状腺ホルモンは、互いに作用を強め合う正のフィードバックループを形成し、細胞増殖を促進することで羽の迅速な伸長を可能にします。
  • 本研究の成果は、長年未解明であった換羽の分子メカニズムの解明に新たな道を切り拓くことが期待されます。

 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)の竹内栄教授、相澤清香准教授、環境生命自然科学研究科(博士前期課程)の野沢優里大学院生らの研究グループは、ニワトリ初生雛を用いた研究で、プロラクチン(PRL)がインスリン様成長因子(IGF)および甲状腺ホルモン(T3)と連携して羽の伸長を促進するメカニズムを解明しました。この研究成果は、2024年12月17日に国際比較内分泌学会連合の機関誌『General and Comparative Endocrinology』のオンライン版に掲載されました。
 鳥類の季節的な換羽は、生存や繁殖において重要な役割を果たします。これまで、PRLやT3が換羽を誘導するホルモンとして知られ、近年ではIGFの関与も報告されてきました。しかし、羽形成の場である羽包において、これらのホルモンがどのように作用し、互いにどのような相互関係をもつかは不明でした。
 本研究では、初生雛および培養細胞にホルモンを投与し、その効果をRT-qPCRや免疫組織化学の手法で調べることで、PRLが羽包内でIGFおよび甲状腺ホルモン活性化酵素(DIO2)の発現を促進することを明らかにしました。さらに、DIO2によって生成されたT3とIGFが正のフィードバックループを形成し、羽細胞の急速な増殖を促進する仕組みを解明しました。
 これらの成果は、羽の成長メカニズムに関する理解を深め、長年未解明であった換羽の分子メカニズムの解明に大きく寄与します。また、羽形成の制御メカニズムに関する知見は、ニワトリを含む鳥類全体の生態や繁殖行動の理解をさらに進展させることが期待されます。

<詳しい研究内容について>
プロラクチンが羽成長を促進する分子メカニズムの解明~インスリン様成長因子と甲状腺ホルモンが協働し急速な成長を実現~

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