性的傾向が指に現れる?〜ラットの指の長さが行動のカギに
◆発表のポイント
- ラットにおける指の長さが性的活発性の指標になることを発見しました。
- 第2指(人差し指)が短いオスのラットは性的に活発で、メスの匂いに対する明確な選好性を示しました。
- 子宮内ホルモン環境を反映する形態学的特徴が、脳の性分化と性的活発性に影響することをラットで初めて明らかにしました。
岡山大学大学院自然科学研究科博士後期課程の林姫花大学院生(研究当時。現、学術研究院環境生命自然科学学域(理)特任助教)、学術研究院環境生命自然科学学域(理)の坂本浩隆教授(神経内分泌学)の研究グループは、ラットにおいて第2指(人差し指)と第4指(薬指)の長さの比(2D:4D比)1)が性的活発性の指標となることを世界で初めて明らかにしました。
2D:4D比は、胎児期の男性ホルモンへの曝露(アンドロゲンシャワー)2)の程度を反映する形態学的指標として知られており、ヒトの手では男性で有意に小さい値を示す性的二型3)です。
本研究では、ラットの前肢においても、オスはメスよりも第2指が短く、オスで小さい2D:4D比を示し、これはヒトと一致していることがわかりました。性的活性と2D:4D比の関係を調べたところ、初回の性行動テストで射精に至ったオスは、射精に至らなかったオスに比べて第2指が有意に短いことが判明しました。さらに、第2指の長さで群分けを行い、性行動を比較した結果、第2指が短いオスは第2指が長いオスよりも性的に活発であることが明らかになりました。また、第2指が短いオスのみがメスの匂いに対して明確な選好性を示しました。これらの結果は、子宮内ホルモン環境を反映する形態学的特徴が、脳の性分化と性的活性に影響することをラットで初めて明らかにしたものです。本研究は、ラットの第2指の長さが性的活性や選好性を反映する有用な形態学的指標であることを示し、今後、性的指向性の神経生物学的メカニズムの解明にも貢献することが期待されます。
この研究成果は、2025年5月14日付で国際学術誌「Experimental Animals」電子版に掲載されました。
<詳しい研究内容について>
性的傾向が指に現れる?〜ラットの指の長さが行動のカギに