やる気はホルモン次第!?ニューロメジンUが鍵を握る新発見
◆発表のポイント
- ホルモンのニューロメジンUを欠損したラットでは、意欲的な運動行動(輪まわし活動)が著しく低下していました。
- このラットでは、男性ホルモンであるテストステロンの正常な日内リズムが乱れ、通常見られる1日のピークが消失していました。
- 本研究は、内分泌リズムとモチベーションを結びつける新たなメカニズムを、世界で初めて明らかにしたものです。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の相澤清香准教授らの研究グループは、ホルモン「ニューロメジンU」がモチベーション(動機づけ)を調節する働きを持つことを明らかにしました。
研究チームは、哺乳類モデル動物であるラットにおいて遺伝子改変を行い、ニューロメジンUが欠損した個体を作製し、その行動とホルモン動態を解析しました。その結果、正常なラットと比べて、自発的な運動行動である、回し車を走る「輪まわし活動」が著しく減少していることが分かりました。なお、輪まわし活動は、日常生活に伴う単なる活動とは異なり、げっ歯類にとって意欲的な行動のひとつとされています。
さらに、ニューロメジンU欠損ラットでは、男性ホルモン「テストステロン」の血中濃度に通常見られる正常な日内リズム(概日リズム)が消失しており、1日のピークが見られなくなっていました。
これらの成果は、2025年6月5日付で国際学術誌『Endocrinology』オンライン版に掲載されました。
本研究により、ニューロメジンUがホルモンのリズムとモチベーション行動をつなぐ新たな内分泌因子であることが世界で初めて示されました。この発見は、意欲低下、ホルモン異常、そして概日リズム(体内時計)の乱れに関連する様々な疾患の理解や、新たな治療ターゲットの開発につながることが期待されます。
<詳しい研究内容について>
やる気はホルモン次第!?ニューロメジンUが鍵を握る新発見