カラスはなぜ真っ黒?―黒さの秘密は「止まらないスイッチ」にあった
◆発表のポイント
- カラスの黒い羽は、黒さを生み出す“スイッチ”であるMC1Rがホルモンなしでも高活性を保ち、黒色素を作り続けることで生じる可能性を示しました。
- 黒色の野生鳥類で初めて、MC1Rの恒常的な活性化を細胞実験で実証し、複数のアミノ酸変化の関与を示しました。
- この成果は、黒色化に多様な分子機構があることを示し、収斂進化の理解に新たな知見をもたらします。
カラスはなぜ、あれほど黒いのでしょうか。身近でありながら長年謎とされてきたこの問いに、分子レベルから迫る新たな発見がありました。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)の竹内栄教授、相澤清香准教授らの研究グループは、羽の色を決める受容体「MC1R」に着目。その機能解析から、黒さを生み出す“スイッチ”であるMC1Rが、カラスでは切れることなく入り続けている可能性を明らかにしました。
鳥の羽や動物の体色は、主に黒色系のユーメラニンと赤褐色系のフェオメラニンのバランスで決まります。このバランスを調整するのがMC1R、いわば“色の切り替えスイッチ”です。通常はホルモン刺激によって一時的にオンになり、ユーメラニンの合成を促します。
本研究では、ハシブトガラスのMC1Rを培養細胞で詳細に解析した結果、ホルモンがなくても高い活性を保ち、ホルモン刺激への応答が弱いことが判明しました。つまりカラスでは、このスイッチ自体が常にオンの状態にあり、ユーメラニンが作られ続けていると考えられます。さらに、マウスやニワトリでは1アミノ酸置換で生じる「止まらないスイッチ」が知られていますが、カラスでは複数のアミノ酸変化の組み合わせで生じている可能性が示されました。
本研究は、野生の黒い鳥でこの仕組みを実験的に示した初めての成果です。カラスの黒さの謎に新たな答えを与えるとともに、生き物の色の収斂進化に関する重要な発見といえます。
本研究成果は、2026年4月6日に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」オンライン版に掲載されました。
<詳しい研究内容について>
カラスはなぜ真っ黒?―黒さの秘密は「止まらないスイッチ」にあった