量子宇宙基礎物理学
当研究室では,素粒子物理学・宇宙物理学・原子分子物理学など物理学の様々な分野で発展した知識・技術を元に,基礎物理の新たな法則:素粒子標準理論を超えた物理モデル構築につながる実験事実を探求することを目指して研究を進めています.
研究の鍵となる技術である高性能レーザーの開発を始め,高性能検出器の開発,量子コヒーレンス性の高いターゲット開発,分子冷却技術の開発など,様々な技術開発を独自に進め,世界に一つしか無い実験装置を使って研究しています.
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素粒子であるレプトンのみで構成される特殊な原子を「純レプトン原子」と呼びます.その一種のミューオニウムは正のミュー粒子 (第2世代のレプトン) と電子で構成される水素様原子です.複雑な核構造を持つ通常の原子と比べ,点電荷と見なせる素粒子のみで構成される単純な構造であるため,そのエネルギー準位を素粒子の標準理論を使って精密に予測可能です.
このような特徴を持つミューオニウムの精密レーザー分光により,標準理論の精密検証および標準理論を超えた新物理探索を進めます.
素粒子である電子は,標準理論によるとその電荷分布はほとんど広がりがなく「点電荷」として見なせるとされています.ところが,標準理論を超えた物理モデルでは電子の電荷分布の偏り,すなわち永久電気双極子モーメント (EDM) を持つことが予想されています.
電子はEDMを持つのか.この問いに答えるため,最新の分子冷却技術や高感度検出器の技術を使って挑んでいます.